私の好きな美少年映画5選
小学生か中学生の時に「ベニスに死す」を鑑賞して以降、美しい少年が出てくる映画が大好きな私が、今までに観た美少年が出演する映画を5作ほど紹介いたします。
少年はもちろん、まずなにより映像が美しい。
澄んだ冬の風を感じさせる冷たい風景に佇む少年たち。鮮やかに上気する頬。冬の寒さと体温との差がひとめでわかる素晴らしい色彩です。
作品の内容は「ナチス・ドイツ占領下のフランスでカトリック系の寄宿学校に身を寄せる主人公とユダヤ人転入生のお話」。戦時下で生きる人々を描いた作品ではありますが戦場の描写は一切ありません。どちらかといえば戦争が当たり前に根付いている日々で交流するふたりの少年の心情を丁寧に紡いでいる作品。
舞台が寄宿学校ということもあり、ほぼ全編に渡り制服姿。この制服がまた、ベスト+半ズボンだったりインヴァネスコートっぽい外套であったりと、時代を反映したクラシカルな雰囲気で素敵。
主演は主人公ジュリアン役ガスパール・マネスくんともうひとりの主人公ボネ役ラファエル・フェジトくん。このふたりの演技が実に素晴らしいのです……。
激しい表情の変化でなく、ちょっとした機微で内包する感情を読み取らせる感じといいますか。とにかく良い。
特にラスト。ラストです。
あんなに繊細で胸の詰まるラストシーンってあるでしょうか……。
全てが美しく貴く繊細で清い映画。大好きです。
最近廉価版のDVDも出ましたので気になる方はぜひお手元に。
『ペット・セメタリー2』 1992年/アメリカ/メアリー・ランバート監督
あのエドワード・ファーロングの主演作です。
ターミネーター2も大好きですが、こちらはホラー映画ということもあり耽美なカットも多めなのでもっと好き。
あらすじをザックリ書くと「死んだ人間が蘇る墓地の存在を知った少年が最愛の母を蘇らせようとする」ホラー映画といった感じでしょうか。
ストーリーはホラー映画ファンには今ひとつだったようですが、主人公ジェフを演じるエドワード・ファーロングの美しさはピカイチです。
猫と行動を共にしたり喪服と花を装備したりマザコンだったり闇落ちしたりと色々忙しいけどそれを全て物にしてました。さすがすぎる……。
あと原作スティーブン・キングの映画の続編なのでほんのりそれっぽい空気感もありますよ。
・余談
“エドワード・ファーロング”が好きで過激な描写も大丈夫という方にはエディが22歳の時に出演した「デトロイト・ロック・シティ」を激しくおすすめします。
『寄宿舎~悲しみの天使~』 1964年/フランス/ジャン・ドラノワ監督
※鑑賞困難
少年愛作品を愛好する方にはかなり有名なタイトルかと思われます。萩尾望都先生「トーマの心臓」竹宮恵子先生「風と木の詩」にも影響を与えた作品ですね。(「風木」の舞台であるラコンブラード学院はこの映画の主演フランシス・ラコンブラードさんが元ネタ!)
しかし現在、国内版のVHS・DVDはともにプレミア化し入手も鑑賞も困難な状態です。
紹介と称しているのに鑑賞困難な作品を推すのはどうかと思ったんですが、少しでもこの作品を知っている人間が増えれば再販やリバイバル上映などの可能性も生まれるのではないかと思ったので紹介させてください。
私はDVDを持っているんですが字幕が消せないし画質もよろしくないのでリマスター版BD発売を切実に希望しています。
2021年追記:リマスター版Blu-rayが発売されました!! 字幕のオンオフや画質の向上は勿論のこと、カットされていたナレーションが含まれていたり、ブックレットには用語の解説が含まれていたりと旧DVDをお持ちの方も必見の内容です。
「厳格な寄宿学校で青年と少年が特別な友情で結ばれるもそれは規則から反した関係で……」というお話。一応書いておきますがプラトニックです。
同性愛を告発するような青年だった主人公ジョルジュが次第に自分も同じ立場になっていく過程、写しの詩を自作と偽って贈る場面、関係より体面や規律を重んじてしまった故のラストなど……、青年と少年の間にある感情的・精神的な違いが垣間見える瞬間が面白かったです。
物語の主軸じゃないんですが同性愛を告発され別れさせられてめっちゃ落ち込む→立ち直る→主人公の応援をする友人キャラも良かったです。健気すぎるでしょ……。
それはそれとして、主人公と親密な関係になる少年アレクサンドルを演じるディディエ・オードパンくんがなんとも愛らしい。きっと薔薇色であろう丸い頬、丈の短いズボンからのぞく泥のついた膝、くるくると動き回る姿に顔を隠して微笑む仕草まで何もかもがローティーンの少年らしい可愛らしさを演出しているのです。
温室の階段(?)を嬉しそうに駆け上がる姿のなんとも可愛いこと……。
もし鑑賞の機会があれば是非。
・余談
映画自体は鑑賞困難ですが、原作であるペルフィット「特別な友情」は有志の方が翻訳しネットで公開されています。映画でも描写の濃厚さに驚いたんですが原作はさらに濃くてひっくり返りました。映画より年齢差ないらしい。
『グッバイ、サマー』 2014年/フランス/ミシェル・ゴンドリー監督
青春映画が大好きで、こちらは美少年より青春を求めて観た作品。
ところがどっこい、主人公ダニエルを演じるアンジュ・ダルジャンくんが美少年でした。
短くまとめると「窮屈な日常を変えるために少年ふたりが自作のログハウス型の車で旅に出る」というお話。
主人公ダニエルは“よく女の子に間違われる”という設定なので、髪が長い美少年ビジュアル。しかし舞台はあくまで現代なので、表情や仕草は現代っ子です。それがまたい面白いわ……。
この映画のテーマはサマー(=少年時代)にグッバイすること(※個人の感想)なので、後半ではビジュアルも変わりますが美少年であることには変わりなかったです。むしろ作中では『余計幼く見える』と言われる始末。
彼の相棒テオを演じるテオフィル・バケくんもすごくいい味出してて好きなんですよね。気の弱い美少年とおちゃらけた男の子の関係が好きな人はぜひ!(限定的すぎる)
こちらも最近廉価版DVDが出ましたのでお手元に置きたい方はどうぞ。
『ベニスに死す』 1971年/イタリア・フランス/ルキノ・ヴィスコンティ監督
こんな記事にたどり着く人間ならたぶん100回は観てると思う。私も1000回くらい観た。
ではなぜ最後に持ってきたかというと、やはりこの作品が美少年映画の代名詞だからです。
少年をメインとした映画や主演の子が美少年という映画は沢山ありますが、しかしよく考えてみると“美少年を主題にし美少年として美少年を撮った”映画ってなかなか無くないですか?
そんでもって上記の要素を含む映画を答えよと言われたら、大抵の美少年映画愛好家は「ベニスに死す」を思い浮かべると思います。
そういうことです。
あらすじをザックリ書くと「美少年に魅入られた、地位のある主人公の男性がその命を燃やし尽くすまでの話」かな……。
ちなみに美少年と主人公は親密な関係にはなりません。主人公アッシェンバッハはあくまで遠目から美少年を愛し、そのために身を滅ぼすだけです。
私は後半でアッシェンバッハが少年に近づくために始めは馬鹿にしていた若作りの化粧をするシーンが大の大の大好きなんですがこの辺は書くと長くなりそうなのでまた別の記事で。
美少年タジオを演じるビョルン・アンドレセンは撮影当時15歳。少年としてはギリギリの年齢に思います。ヴィスコンティ監督もオーディションで「背が高い」と評していました。(※原作のタジオは映画より幼い設定)
しかし、だからこそビョルンの演じるタジオは少年としての美しさが有限であることを感じさせてくれました。
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・余談
実は現在ビョルン出演のドキュメンタリー映画の撮影が進行しており2018年には来日もされています。「ベニスに死す」の舞台となったホテルでの撮影もあったとのことで恐らくベニス関連のお話を沢山されているかと思われます。こちらも楽しみ。
『美は滅びない』至言ですね。