『世界で一番美しい少年 』雑感
はじめに
私の好きな美少年映画5選という記事を書くくらい、“映画の中の美少年”に傾倒していた人間による、ビョルン・アンドレセンのドキュメンタリー「世界で一番美しい少年」感想です。観た人向けのかなり乱雑な記事です。
Fan's Voiceさんによるオンライン試写会で鑑賞しました。
鑑賞するまで『ベニスに死す』へ出演したことで彼の周りに起きた変化、映画界における子どもの消費についてがメインテーマだと思い込んでいましたが、実際はもっと広く深い部分が映し出された映画という印象を受けました。
ビョルンの現在と生い立ち
人の生まれ育ちや生き方について言及するのは好きじゃないので詳しくは書きませんが、ビョルン自身が自らをしっかりと振り返って見つめている姿が印象的でした。
ここまで深く掘り下げ曝け出すのか、と面食らった部分も多かったです。
それと同時に、この彼の姿を『衝撃の』とか『破滅の…』みたいなコピーで売り出しているの失礼だな…とも強く感じました。
スターを取りまくホモソーシャル
ビョルンが演じたタジオは、彫刻のような、冷たく、完全な美少年というビスコンティの理想そのもの。
しかし、それはあくまで映画の中の話。演者であるビョルン・アンドレセンは温度のある人間です。
だからこそ、悪しきホモソーシャル特有の空気に晒されなければならなかったのでしょう。
悪いホモソーシャルの慣習に、”相手をいかに雑に扱えるか”で男らしさを証明する構図があると思うのですが、公開後の会見でのヴィスコンティの発言や、その後大人たちにクラブなどへ連れ回されたというエピソードは、その最たる物だと感じました。
何が最悪って、当時のビョルンには「美しいスターである未成年」という属性が付加されていたこと。性的対象として鑑賞されながらも、ホモソーシャルに揉まれて嘲られる。あまりにも耐え難い…。
日本でのビョルン
来日したビョルンがゆかりのある人々と対話をする映像があります。
その中で、”オスカルのモデルはビョルン”という縁で登場された漫画家・池田理代子先生が「私は今までずっと彼の外側だけを見ているんじゃないかと思っていたけれど、ちゃんと内側も見れていました」といった趣旨の発言をしていました。
コーディネーターの方によると池田先生とビョルンは実際に楽しく話をされていたそうで、だからこそ先生はこういった発言をされたのでしょうが、多分、そんなことはないと思うんですよね…。
日本での映像に登場する人々は皆、「ベニス」におけるタジオを前提にビョルンを見ていたように思います。
憧憬に輝く日本の人々の瞳と、悲しげなビョルンの表情が対照的でした(無論、そう見えるよう編集されているのだとしてもです)。
あと、悪い意味で印象的だったのは、日本側の人々から「白人だから…」「外人さん」というワードが当たり前に飛び出したこと。
『ベニスに死す』公開当初を知る年代の人たちにとってはある種賞賛のようなワードなのでしょうが、21世紀の価値観と照らしわせると排他的に感じてしまう。
芸術か性的消費か
芸術である、高尚な物である、と作り手が思っていたとしても、結局どう受け取るかは鑑賞する人間次第なんですよね。
オーディション時、服を脱ぐよう指示したビスコンティの発言に他意はないとしても、消費する側もそうであるとは限らない。
実際、私は初めてビョルンのオーディション映像を見たとき、その年相応な姿にほころんでいました。恐ろしいことに、彼があの瞬間を拒んでいるなんて考えもつかなかったのです。
少女に対し『服を脱げ』と言おうものなら、オーディションであっても許されるべきでないと感じるはずなのに。ただ、対象が少年であるというだけでそれがスッポリ頭から抜け落ちてしまっていた。
月並みな感想だけど、背景を考えずに消費していたことがひどく恥ずかしかったです。
客体化すること
美しい少年タジオを見つめ、死に抗うことをやめるアッシェンバッハ。
世界で一番美しい少年だった自分を見つめ、期待しないことを選んだと語るビョルン。
ラストの演出の意図はこの対比だと思うんですが、誤解を恐れずに言えば、あざといと感じました。
現在のビョルンが少年時代の自分を消費している様を示唆していると受け取ったのですが、なんというか、結局そこに集結させちゃうんだ…みたいな…。
主題は何だったのか
他の人の感想を見て、このドキュメンタリーは『ベニスに死す』に関わることで彼に起きた出来事(特段、性的消費について)が主題だと受け取っている人が多い印象を受けました。
もちろんそれは、世界で一番美しい少年であるタジオ及びビョルンを消費した側の私たちもきちんと見つめるべき事実であり、受け止めるべきテーマではあります。
ただ、このドキュメンタリーの主題はそれだけにとどまらないのでは?というのが私の感想です。そうでなければ、ビョルンの生い立ちや現在置かれている状況まで深く掘り下げる必要はないじゃないですか。
ビョルン・アンドレセンには、恋人がいて、家族がいて、好きな音楽に触れることができている。
『ベニス』やそれを起因として起きた事も、彼の一部に過ぎず、このドキュメンタリーは、生まれ、育ち、スターとして祭り上げられ、表舞台から身を引き、現在に至るまでのすべてをひっくるめた「ビョルン・アンドレセンの人生」を静かに眼差すための映画だと感じました。
総括
この映画を観ることで何かしらの感想を持つことも、結局、彼を客体化し消費する行為なんだと思います。
だからといって、感想を持たないなんてことはできないのが人間というもので…。
このドキュメンタリーをどう受け止めるべきなのか少し考えてみたのですが、未だに答えはわかりません。
制作中という記事を見かけてから2年、様々な場所で情報を追い続け、やっと鑑賞することができました。
乱雑な記事ではありますが、以上が私の感じた『世界で一番美しい少年』です。
Celesシネマを注文してみた感想2
好きな映画をイメージした香水をセレクトし届けてくれる「Celesシネマ」というサービスを再び利用してみました。
※2021年2月28日までサービス期間が延長になったそうです!
→常設になったそうです!
以前注文した時【Celesシネマを注文してみた感想】とはまたちょっと傾向が違って面白かったので書いてみます。
今回注文したのは「タイタニック」「寄宿舎 悲しみの天使」「さよなら子供たち」「男はつらいよ 花も嵐も寅次郎」「ターミネーター2」です。
ちなみに今回、カードを見ずにどれがどの作品か当てる遊びをしてみたんですが、見事に全部的中して解釈の精度にびっくりしました。
※私の文化レベル:パルファムとかトワレとかコロンとか香水にも色々種類があるらしいことを最近初めて知った
- タイタニック(1997年)/ Eau des Merveilles Bleue
- さよなら子供たち(1987)/ Diptyque – Vetyverio
- ターミネーター2(1991年) / Comme des Garcons – Comme des Garcons 2
- 寄宿舎 悲しみの天使(1964年) / TOBALI – White Storage
- 男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982年) / Derbe – Te Bianco
タイタニック(1997年)/ Eau des Merveilles Bleue
さすがの私でも知ってるブランド、エルメス!
タイタニックという大作にぴったりですね…。
すごく下品な言い方をすると、高いお店の香りがしました。
確実に香水らしい香りではあるのですが、清涼感があってさっぱりしてるんですよね。
海イメージというのにとても説得力があります。
そして説明文にもありますが、かすかにウッディーな雰囲気もあります。作品の舞台である20世紀初頭を思わせますね。好き。
さよなら子供たち(1987)/ Diptyque – Vetyverio
まず第一印象がクール。
ピリッとくるので、なんとなく突き放すような印象を受けました。
この作品は舞台が冬で、物語のラストも物悲しさがあるのですが、それがみごとに当てはまるなぁと。
正直好みの香りではなかったのですが、一発で「これは『さよなら子供たち』だ!」と思うくらいイメージぴったり。
なんだか埃っぽい?(こういう香りをなんと表現すればいいかわからない)というか、石造りの校舎を思わせる香りもあったかな。
時間が経ってからはすこし優しい香りに変化し、主人公ふたりが打ち解け笑いあった僅かな時間を感じさせてくれました。
ターミネーター2(1991年) / Comme des Garcons – Comme des Garcons 2
まずボトルの画像を見て欲しいんですけど、これはずるくないですか?
ターミネーター2 プレミアム・エディション【初回限定生産】 [Blu-ray]と並べて置きたくなる。最高ですね。
匂いの方も、初手がちょっと鉄っぽいというか金属っぽいような独特かつ無機質な香り。
そこからすぐに変化していくんですが、全体的に、スッキリと抜けていく感覚があって掴みどころの無い印象でした。
物語全体というより、T-800かジョン・コナーからこういう匂いしそうって感じました。
ただ、更に時間が経つと淡く漂うような雰囲気に変化していくので、これは機械が感情を知るラストシーンと重なるなぁとも感じました。
寄宿舎 悲しみの天使(1964年) / TOBALI – White Storage
説明文を…読んでください…。アレクサンドルです…。
なんというべきか、古い木造建築のような埃っぽく懐かしい感じの香り。
真っ先に浮かんだのは、主人公ふたりが藁の上でタバコを吸ってからじゃれあうシーンかな。
ジョルジュとアレクサンドルのいた寄宿舎や食堂、温室はきっとこんな感じだろうと思いました。
また、その懐かしい古い木の香りと瑞々しい清潔な印象が同居しているのも素敵なところでした。
アレクサンドルじゃん…。
男はつらいよ 花も嵐も寅次郎(1982年) / Derbe – Te Bianco
シリーズ指定を2作もぶっこむという厄介オタクしぐさ。
寅さんシリーズのなかでもこの30作目は何度も観るくらい好きなので指定しました(ヒント:私は沢田研二さんのファン)。
石鹸っぽく清潔で、今回頼んだ中では一番好みでした。
この作品はいわゆる「寅さんコーチもの」で、寅さんがマドンナと恋をするというより、寅さんがマドンナと別の男性との仲を取り持つというストーリー展開。
そんなわけなので、この生活のそばにあっても違和感のない、寄り添うような香りはぴったりだと感じました。
しばらくつけるとお香のような雰囲気を感じたんですが、これまんま三郎青年がお母さんへお線香をあげるシーンっぽくないですか? すごい……。
奥に甘さがあるのも、恋の行方を感じさせて憎いですね~。いやぁ、いい…。
という感じで今回も最高でした!!
今回特に感じたのは、Celesシネマさんの魅力は映像作品では伝わらない『匂い』の部分を補ってくれるところだなぁということ。
最初の方にも書いたんですが、「カードを見ずにどの作品か当てる遊び」本当に楽しかったですし、本当に当たっちゃうくらいイメージぴったりなのでマジですごいです。
期間延長ということで、また懲りずに注文しそして既に届いているので追々記事書くと思います。
楽しすぎてやめらんないよ…。Celesさん、ありがとう!!!!!!
Celesシネマを注文してみた感想
好きな映画をイメージした香水をセレクトし届けてくれる「Celesシネマ」というサービスを利用してみました。
※2020/12/28までの期間限定サービス→2021/2/28まで延長になったそうです!
→常設になったそうです!
今回は「スタンド・バイ・ミー」「グッバイ、サマー」「ベニスに死す」「太陽を盗んだ男」「なまいきシャルロット」の5作品で注文。大体2週間で到着しました。
どれも解釈一致で最高だったので、感想を書いてみたいと思います。
※私の文化レベル:ドンキとAmazon以外で香水を買ったことがない
- スタンド・バイ・ミー(1986)/ Outremer − The Tea
- グッバイ、サマー(2015) / Penhaligon’s – Lily of the Valley
- ベニスに死す(1971) / Liquides Imaginaires – Phantasma
- 太陽を盗んだ男(1979) / Maison Francis Kurkdjian − Aqua Vitae
- なまいきシャルロット(1985) / Diptyque – Oyedo
スタンド・バイ・ミー(1986)/ Outremer − The Tea
アメリカの作品で、子供たちが夏休みに家の前でレモネードを売るっていうシチュエーションよく見るじゃないですか。映画と全然関係ないんですが、あの図がパッと浮かびました。
なぜかというと、めっちゃ柑橘類の匂いなんですよ。
ちゃんと嗅いでみるとレモンというよりはグレープフルーツ寄りで、ちょっと苦味のある感じなんですが…、いや~夏っぽいしノスタルジック。そして少年だ。
時間が経っても結構ツンとした香りが続いていて、これはたしかに「スタンド・バイ・ミー」っぽいなと。
旅の道中からゴーディの自立と旅の別れまでを感じさせる香りでした。
グッバイ、サマー(2015) / Penhaligon’s – Lily of the Valley
「スタンド・バイ・ミー」と似たジャンルの作品なのでオーダーするか悩んだんですが、差を楽しむぞということで頼んでみました。
結果としては本当にオーダーしてよかった!!です!!
「スタンド・バイ・ミー」で届いた香水はツンとした柑橘類の香りでしたが、対してこちらは青っぽく清潔な香りでした。
どちらも爽やかで夏らしくはあるものの、方向性がまったく違っていて面白かったです。
清潔感が素晴らしくどことなく石鹸っぽさがあるので、旅が終わってお風呂に入った後のイメージかな~という感じでしたが、改めて嗅ぐとログハウスっぽいノスタルジックな印象もあって、「グッバイ、サマー」全体のイメージじゃん!となりました。
これ嗅ぎながらサントラ聴いたら幸せになれる。フルボトル買いたい…。
ベニスに死す(1971) / Liquides Imaginaires – Phantasma
め~~っちゃくちゃいい香りです。匂いにも美しさってあるんだって思った…。
スーっと突き抜ける高潔な第一印象の後に、優しく変化し段々と淡くなっていく感じ。
主張が少なく上品なのに魅惑的。
つけ始めは華やかなホテルのロビー、エリーゼのためにを弾くタジオ、高潔な美しさ。時間の経った後は、夕日を眺めながら命を落としていくアッシェンバッハ、人生の脆さ儚さ…というイメージかなと。
詳細を調べてみたらコンセプトまで解釈一致でCelesさんのすごさに感動しました。
この香水もフルボトル買いたいなぁ…。
太陽を盗んだ男(1979) / Maison Francis Kurkdjian − Aqua Vitae
ひとつくらい無骨なものがあって良いだろうと思って頼みました。
結果は解釈大一致!!
城戸が爆弾作りながらノリノリで踊ってるシーンですね。間違いない。
他の作品で届いたものと違って男性的な印象の強い香りです。
香水にこういった感想を書くのは失礼かもしれないんですが、倉庫っぽい匂いだなと…。スモーキーで懐かしさを覚えるあの感じ。
ただ、面白いことに時間が経つと甘さが混じった香りになるんですよね。
これは自身の死期を悟りながら山下警部と接触をはかる城戸の心理っぽいなぁと勝手に解釈して笑顔になりました。
なまいきシャルロット(1985) / Diptyque – Oyedo
初手がメントールっぽく抜けていく香りで、まず『生意気娘っぽい!!』と大興奮。
そこからだんだんと甘く柔らかな印象に変化し、暖かな雰囲気に落ち着きます。
全体としては「スタンド・バイ・ミー」で届いた香水と同じで柑橘系ではあるんですが、こちらはかなり甘やかでフルーツそのものというよりフルーツ系のお菓子っぽい。食べたくなる匂いで好きです。
これはクララとシャルロット、どちらでも合うなぁ…。
とにかく可愛くて、小さな宝箱のような香りですね。
本当に大切なものは身近にあった…という映画のラストにも通じる印象で、大好きです。
リアルで映画の話をできる友達がまったくいないので、こういった形で自分以外の誰かの解釈を知れるっていうのがめっちゃ楽しかったです。
また、お高め(※私基準)の香水を試すこともほぼしないので、そういった意味でも良い機会になりました。いつかフルボトルを買うという夢もできた…。
本っっ当に期間限定というのが惜しくなるくらい良いサービスでした!!
実はちゃっかり追加注文もしちゃったので、それもまた楽しみにしています。
Celesさんありがとう!!!!
【追記】追加注文分の記事を書きました!
マーメイドメロディーぴちぴちピッチの曲を聴こう
昨今、女児向けアニメの楽曲が話題になる事が増えましたね。
とりわけ私が好きなのはアイカツ!でした。
アイカツ!にはゴシックなヘヴィメタルやムードたっぷりなレゲエ、果ては80年代リバイバルのようなアイドルソングまで、バラエティに富んだクオリティの高い楽曲がそろっていて、私は漠然と「女児アニ楽曲すご~い」なんて思っていました。
が、ある日突然思いました。待てよ、と。
本当にアイカツだけだろうか……?
アイカツ以前にも、私は女児アニメで素敵な曲に出会っていた気がする……。
そして、頭の中にぼんやりと、あるタイトルが浮かびました。
美少女ゲームのようなタイトルではありますが、2002年~2005年の女児向けコンテンツの名前です。
なかよし連載の漫画を原作とし、アニメやテレビゲームなどを展開していました。
マーメイドのお姫様である主人公やその仲間が陸で生活しながらも海の平和を守るため敵と戦う作品で、主人公たちの武器は歌。(歌によって精神攻撃を与え退散させるのです)
基本的に1話に1曲は必ず歌唱パートが入るので、アイカツやプリパラに通じるものがありますね。
ともかく、その性質上ぴちぴちピッチは楽曲の数が多く、素敵な曲も沢山存在しています。
・好きな曲
そんなわけで、ぴちぴちピッチはいいぞ!と主張するために好きな楽曲を4曲ほど紹介したいと思います。
ちなみに音楽知識は皆無なのでふんわりしてます。
「七つの海の物語~Pearls of Mermaid~」
作詩:三井ゆきこ 作曲:林浩二
ストリングスが心地よく、なんとなく80年代アイドルソングの空気を感じさせる曲調。
優しげに歌い上げるAパートからジャン!と音が鳴って盛り上がるサビへの流れが見事。
そしてCパートとアウトロで水族館っぽいメロディー(知識の限界です、何とか察していただけるとありがたいです)が流れるんですが、これがまた海!マーメイド!って感じで可愛いんですよ。
どこかノスタルジックな歌詞もエモーショナルです。聴いてください。
「Beautiful Wish」
作詩:三井ゆきこ 作曲:延近輝之
ハープっぽい幻想的な伴奏に合わせ、囁くように歌い上げられられる楽曲。
入りのオルゴールの音色がとても美しくすっと心に入ってきます。
ところで、これを歌う星羅というキャラは、物語終盤まで実体を持たないという少し特殊な立ち位置のキャラです。
主人公はそんな星羅の真珠に毎夜語り掛けているのですが、その時に流れるBGM、なんだと思いますか? そう、主題歌のオルゴールアレンジ。
オルゴール=星羅と刷り込まれている女児は、この曲聴くとイントロで泣いちゃいます。エモーショナルですね。
サビではメロディーに重みが加わりますが、これがまたドラマチックな雰囲気を盛り上げています。
あと喜多村英梨さんの歌が上手い。
※公式youtubeが無かったためamazonを紹介。上記2曲、商品ページから視聴ができます。
「黒の協奏曲~concerto~」
作詩:三井ゆきこ 作曲:延近輝之
どこか百合百合しいブラックビューティーシスターズなる敵が歌う曲。
味方陣営が明るく伸びやかな楽曲を歌う一方で、敵陣営の楽曲は不協和音的なメロディーが組み込まれているものが多いです。
こちら黒の協奏曲~concerto~も前奏から不安を煽るようなメロディが特徴的で、一発であっ敵の曲だ!と分かるのが凄い。
区切るように差し込まれるクラップやせわしないピアノの音、ダークな歌詞によって生まれる怪しさが良いですよね。
インストだけだと忙しなく聴きづらくも感じそうな曲ですが、歌い上げるブラックビューティーシスターズの美しいハモリと合わさると最強にかっこいい楽曲になります。まさに協奏曲。
ちなみに自分の周りで一番人気が高い曲も黒の協奏曲~concerto~でした。
「蝶と花のセレナーデ」
作詩:三井ゆきこ 作曲:土谷知幸
蘭花(ランファ)というチャイナ服ガールの敵が歌うオリエンタルな曲。
爪弾かれた琴のような艶やかな出だしでまずぎゅっと心を掴まれます。
楽曲全体はインド風のエスニックな旋律が和楽器で装飾されている感じ。とにかく聴いていて飽きない。
蘭花は12人の小さな分身を繰り出し歌うキャラでもあるので、この多種が混合されたような音がイメージぴったりだったりする。
そしてこの楽曲は歌詞も秀逸。作詩は上で紹介した3曲と同じく三井ゆきこ氏が担当しているのですが、蘭花というキャラが他にない属性の持ち主なためか、この曲の作詩は一際個性的です。
だって、歌い出しが「月夜に咲いた蘭花(はな)の香りはかぐわしく…」ですよ。もうオシャン。東洋の神秘。
続く歌詞たちにも「下弦の月」「竪琴」「私にかしずく可愛い僕(しもべ)」「羽衣」「優美なるセレナーデ」など、女児がなんかかっこいい!と思うような、フレーズが的確に散りばめられています。好き。
やっとアンパンマンを脱したような子供が初めて聴いたオリエンタルな楽曲。
好きなぴっちの曲は沢山ありますが、原体験ということもあり、この蝶と花のセレナーデは特に思い出深いです。
蘭花ちゃん好きだ……。
同アルバム収録のテクノロックっぽい楽曲「暗黒の翼」もおすすめ。
・締めの文章
そんなわけで紹介は以上です。
本当は紹介した以外にも「Ever Blue」「水色の旋律」「Piece of Love」「Legend of Mermaid」「希望の鐘音 〜Love goes on〜」などなど聴いてほしい曲は沢山あるのですが、書き始めたら止まらなくなってしまうので……。
これを書くにあたり久々に色々聴けて楽しかったです。
そして浮かんだ結論は「ぴちぴちピッチやっぱり好き!!」でした。
どの曲もとにかくパワフルかつ可愛い&カッコイイんですよ!
大人が全力で女児を楽しませようとしてくるのが分かる。大好き。
どうかこれを見た人が、ぴっちを思い出したり興味を持ったりして、素晴らしい楽曲たちを聴いてくれますようにと願いながらそれっぽく締めようと思います。
ぴちぴちピッチはいいぞ!
ではでは!
高校生の私が沢田研二さんのライブに行った話
・ジュリーとの出会い
私が沢田研二さん(ジュリー)を知ったのは、数年前に見た「ドリフ大爆笑」の再放送だったかと思います。
本当に何気なく見ていただけなのに、ある瞬間にガツンとやられました。
コントの合間にある歌のコーナー。そこでジュリーが歌っていたのです。
歌唱された曲は「カサブランカ・ダンディ」。飾りも何もないステージに立つジュリー、小粋なメロディ、艶のある歌声に、楽曲の世界観をそのまま表現したような衣装とパフォーマンス。
さっきまで志村けんとコントをしていた青年が一気にカサブランカのあんちゃんに変身している。
なんだこれは、こんなにすごい歌手が存在していたのかと衝撃を受けました。
そして気が付けば部屋にはジュリーのレコードやプロマイドが溢れかえっていました。
ありがとうファミリー劇場
・近年の沢田研二さんについて
さて、ここからが本題です。
ご存知の方は多いかと思いますが、沢田研二さんはデビューから71歳になる現在まで毎年ツアー(と新曲の発売)をしているんですよ。
しかもそのツアーは大概全国規模で、私の住む九州のド田舎もツアー範囲に含まれるんです。
普通なら行きますよね。
私もジュリーのファンになったとき、ちょうどツアーのCMがテレビから流れてきて、チケットを購入するか迷いました。
いえ、私だって70年代・80年代に生きる女学生ならばジュリーのライブと聞けば東京だろうが何処だろうが迷わずチケットを取っているはず。
きっとそのライブでは当時の新曲、つまり今の私が好きになったジュリーの曲が聴けるのですから。
しかし今は21世紀。昔のライブとは違うのです。
というのも、近年の沢田研二さんのライブは極力過去の楽曲は歌わない方向性で、近年の曲を中心にセットリストを組んでいるという話を知りまして。
そしてその近年の楽曲というのは政治的な思想が強く、そういった事柄に疎い人間はどうしても苦手意識を覚えてしまうような歌詞。
そういったことから、私は長らくジュリーのファンでありながら沢田研二さんのライブには足を運ばず過去の楽曲ばかりを聴いていました。
(正直ライブに行った今でも、瞳みのるさんがインタビューで語った『沢田研二は今、憲法九条、反原発とか政治色の強い音楽をやってますよね。僕も想いは同じなんですけど、どちらかと言うともっと文学性に重きをおいたものをやりたいと思っています。』という言葉の方に共感しています)
・そんな私が沢田研二さんのツアー「SHOUT!」に足を運んだ理由
とはいえジュリーのことは大好きで、スーパーアリーナの報道をみてはジュリーがテレビに出てる!と喜ぶくらいには日々を楽しんでいました。
そんなある日、Amazonのおすすめ商品にある楽曲が表示されました。
沢田さんの新曲です。
なんとなくでした。ドリフを見ていた数年前のように、なんとなくそれを試聴してみたのです。
……え!?!? 超カッコいい!!?!?!?
サウンドも歌声も、それはもう滅茶苦茶かっこよかったです。
実はいままで歌詞だけ見て敬遠してたんですが、曲として聞けばこれがロックか…と思うくらいカッコよかった。
衰えるどころか重厚感を伴ってさらに進化している歌声にも驚いた。え、マジで…?ってリアルに声が出た。
なんだ、ジュリーじゃないか。と思ったのです。
何だったかは忘れましたが、沢田研二さんがどこかで「人間は変わっていくものだから」とおっしゃっていました。
でもきっと、変わっていき、昔とは違っても変わっていかない物もあるんだと思います。
ファン歴も短い私が何を偉そうにって感じなんですけど……。今の彼の歌を聞いたときは本当にそう感じました。
そして、追い打ちのようにファンの方のブログで「最近はジュリーの生き様を見るためにライブに行っている」という文字を見つけ、吹っ切れました。
どうせ地元に来てくれるんだもん!!私はジュリーのライブに行くぞ!!!!
・そんなわけで「SHOUT!」に行ってきた
5月9日に流れてきたセトリ情報に(歓喜のあまり)狼狽えながらもバッチリ予習してライブに行きました。
会場はレコードの時代からジュリーのファンだったであろう方々に加え、CDやサブスク世代であろう方々も多かったです。
皆それぞれ期待に胸を膨らませている様子で、ファンの方々の様子も分かるというライブ現場の醍醐味を感じました。
ドキドキしながら開演を待ち、時間になると沢田研二さんの登場!
間髪入れず曲が始まり、皆が耳を傾けます。
正直、めちゃめちゃ最高でした。
伴奏は柴山和彦さんのギターのみ。
ですが、それを感じさせないくらいの力強さがあり、パワフルなジュリーの歌声とばっちり組み合わさっていました。
サウンドも歌声も当時とは別の物ながら、いやだからこそ、それまでに積み重ねられてきた時間や想いを感じられ、「探偵~哀しきチェイサー」「そっとくちづけを」では思わず涙を流してしまいました。
そしてセトリを見たときから不安視していたメッセージソングが続く流れでしたが、前列のファンの方々の盛り上がりもあり驚くほどすんなりと受け入れることが出来ました。
全力で歌い上げ、歌唱後は必ず「ありがとう」と声に出す沢田研二さん。隣で力強くギターを奏でる柴山和彦さん。このおふたりの真摯さとパワーを前にして腐す態度などとれるわけがないのです……。
そんなこんなで濃密で短い時間は終わり、満足感のなか私は会場を後にしました。
・何が言いたかったかというと
悩むくらいなら行った方が良いな!!という感想でした。
ところでこの記事、2019年に描きかけのまま放置していて今は2020年です。
私は変わらずジュリーファンで正月ライブにも張り切って行ってまいりました。
どうやら今年から昔の曲を出し惜しみしないという姿勢でらしく、正月ライブもあの頃の曲が好きな方へもおすすめしやすい構成になっていました。
そして、今年5月からはまた全国ツアーが始まります。
悩んでいる方がいたら是非足を運んでみてはいかがでしょうか?(それっぽい締め)
私の好きな美少年映画5選
小学生か中学生の時に「ベニスに死す」を鑑賞して以降、美しい少年が出てくる映画が大好きな私が、今までに観た美少年が出演する映画を5作ほど紹介いたします。
少年はもちろん、まずなにより映像が美しい。
澄んだ冬の風を感じさせる冷たい風景に佇む少年たち。鮮やかに上気する頬。冬の寒さと体温との差がひとめでわかる素晴らしい色彩です。
作品の内容は「ナチス・ドイツ占領下のフランスでカトリック系の寄宿学校に身を寄せる主人公とユダヤ人転入生のお話」。戦時下で生きる人々を描いた作品ではありますが戦場の描写は一切ありません。どちらかといえば戦争が当たり前に根付いている日々で交流するふたりの少年の心情を丁寧に紡いでいる作品。
舞台が寄宿学校ということもあり、ほぼ全編に渡り制服姿。この制服がまた、ベスト+半ズボンだったりインヴァネスコートっぽい外套であったりと、時代を反映したクラシカルな雰囲気で素敵。
主演は主人公ジュリアン役ガスパール・マネスくんともうひとりの主人公ボネ役ラファエル・フェジトくん。このふたりの演技が実に素晴らしいのです……。
激しい表情の変化でなく、ちょっとした機微で内包する感情を読み取らせる感じといいますか。とにかく良い。
特にラスト。ラストです。
あんなに繊細で胸の詰まるラストシーンってあるでしょうか……。
全てが美しく貴く繊細で清い映画。大好きです。
最近廉価版のDVDも出ましたので気になる方はぜひお手元に。
『ペット・セメタリー2』 1992年/アメリカ/メアリー・ランバート監督
あのエドワード・ファーロングの主演作です。
ターミネーター2も大好きですが、こちらはホラー映画ということもあり耽美なカットも多めなのでもっと好き。
あらすじをザックリ書くと「死んだ人間が蘇る墓地の存在を知った少年が最愛の母を蘇らせようとする」ホラー映画といった感じでしょうか。
ストーリーはホラー映画ファンには今ひとつだったようですが、主人公ジェフを演じるエドワード・ファーロングの美しさはピカイチです。
猫と行動を共にしたり喪服と花を装備したりマザコンだったり闇落ちしたりと色々忙しいけどそれを全て物にしてました。さすがすぎる……。
あと原作スティーブン・キングの映画の続編なのでほんのりそれっぽい空気感もありますよ。
・余談
“エドワード・ファーロング”が好きで過激な描写も大丈夫という方にはエディが22歳の時に出演した「デトロイト・ロック・シティ」を激しくおすすめします。
『寄宿舎~悲しみの天使~』 1964年/フランス/ジャン・ドラノワ監督
※鑑賞困難
少年愛作品を愛好する方にはかなり有名なタイトルかと思われます。萩尾望都先生「トーマの心臓」竹宮恵子先生「風と木の詩」にも影響を与えた作品ですね。(「風木」の舞台であるラコンブラード学院はこの映画の主演フランシス・ラコンブラードさんが元ネタ!)
しかし現在、国内版のVHS・DVDはともにプレミア化し入手も鑑賞も困難な状態です。
紹介と称しているのに鑑賞困難な作品を推すのはどうかと思ったんですが、少しでもこの作品を知っている人間が増えれば再販やリバイバル上映などの可能性も生まれるのではないかと思ったので紹介させてください。
私はDVDを持っているんですが字幕が消せないし画質もよろしくないのでリマスター版BD発売を切実に希望しています。
2021年追記:リマスター版Blu-rayが発売されました!! 字幕のオンオフや画質の向上は勿論のこと、カットされていたナレーションが含まれていたり、ブックレットには用語の解説が含まれていたりと旧DVDをお持ちの方も必見の内容です。
「厳格な寄宿学校で青年と少年が特別な友情で結ばれるもそれは規則から反した関係で……」というお話。一応書いておきますがプラトニックです。
同性愛を告発するような青年だった主人公ジョルジュが次第に自分も同じ立場になっていく過程、写しの詩を自作と偽って贈る場面、関係より体面や規律を重んじてしまった故のラストなど……、青年と少年の間にある感情的・精神的な違いが垣間見える瞬間が面白かったです。
物語の主軸じゃないんですが同性愛を告発され別れさせられてめっちゃ落ち込む→立ち直る→主人公の応援をする友人キャラも良かったです。健気すぎるでしょ……。
それはそれとして、主人公と親密な関係になる少年アレクサンドルを演じるディディエ・オードパンくんがなんとも愛らしい。きっと薔薇色であろう丸い頬、丈の短いズボンからのぞく泥のついた膝、くるくると動き回る姿に顔を隠して微笑む仕草まで何もかもがローティーンの少年らしい可愛らしさを演出しているのです。
温室の階段(?)を嬉しそうに駆け上がる姿のなんとも可愛いこと……。
もし鑑賞の機会があれば是非。
・余談
映画自体は鑑賞困難ですが、原作であるペルフィット「特別な友情」は有志の方が翻訳しネットで公開されています。映画でも描写の濃厚さに驚いたんですが原作はさらに濃くてひっくり返りました。映画より年齢差ないらしい。
『グッバイ、サマー』 2014年/フランス/ミシェル・ゴンドリー監督
青春映画が大好きで、こちらは美少年より青春を求めて観た作品。
ところがどっこい、主人公ダニエルを演じるアンジュ・ダルジャンくんが美少年でした。
短くまとめると「窮屈な日常を変えるために少年ふたりが自作のログハウス型の車で旅に出る」というお話。
主人公ダニエルは“よく女の子に間違われる”という設定なので、髪が長い美少年ビジュアル。しかし舞台はあくまで現代なので、表情や仕草は現代っ子です。それがまたい面白いわ……。
この映画のテーマはサマー(=少年時代)にグッバイすること(※個人の感想)なので、後半ではビジュアルも変わりますが美少年であることには変わりなかったです。むしろ作中では『余計幼く見える』と言われる始末。
彼の相棒テオを演じるテオフィル・バケくんもすごくいい味出してて好きなんですよね。気の弱い美少年とおちゃらけた男の子の関係が好きな人はぜひ!(限定的すぎる)
こちらも最近廉価版DVDが出ましたのでお手元に置きたい方はどうぞ。
『ベニスに死す』 1971年/イタリア・フランス/ルキノ・ヴィスコンティ監督
こんな記事にたどり着く人間ならたぶん100回は観てると思う。私も1000回くらい観た。
ではなぜ最後に持ってきたかというと、やはりこの作品が美少年映画の代名詞だからです。
少年をメインとした映画や主演の子が美少年という映画は沢山ありますが、しかしよく考えてみると“美少年を主題にし美少年として美少年を撮った”映画ってなかなか無くないですか?
そんでもって上記の要素を含む映画を答えよと言われたら、大抵の美少年映画愛好家は「ベニスに死す」を思い浮かべると思います。
そういうことです。
あらすじをザックリ書くと「美少年に魅入られた、地位のある主人公の男性がその命を燃やし尽くすまでの話」かな……。
ちなみに美少年と主人公は親密な関係にはなりません。主人公アッシェンバッハはあくまで遠目から美少年を愛し、そのために身を滅ぼすだけです。
私は後半でアッシェンバッハが少年に近づくために始めは馬鹿にしていた若作りの化粧をするシーンが大の大の大好きなんですがこの辺は書くと長くなりそうなのでまた別の記事で。
美少年タジオを演じるビョルン・アンドレセンは撮影当時15歳。少年としてはギリギリの年齢に思います。ヴィスコンティ監督もオーディションで「背が高い」と評していました。(※原作のタジオは映画より幼い設定)
しかし、だからこそビョルンの演じるタジオは少年としての美しさが有限であることを感じさせてくれました。
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・余談
実は現在ビョルン出演のドキュメンタリー映画の撮影が進行しており2018年には来日もされています。「ベニスに死す」の舞台となったホテルでの撮影もあったとのことで恐らくベニス関連のお話を沢山されているかと思われます。こちらも楽しみ。
『美は滅びない』至言ですね。